「ブラボー!ミュージック」竪山博之

2014年08月11日

今回も父(長く南日本放送に勤務)の話が枕である。

晩年の父が、最も楽しんだ仕事は、おそらく鹿児島交響楽団の理事長職だろう。

米軍の空襲をかいくぐる幼少期。戦後は野球少年で鳴らしたというから、まともな音楽教育など受けていないはずだ。ただ、父の姉が鹿児島市の合唱団にいたこともあり、特に晩年は、クラシック音楽への憧憬が募ったようである。

2003年、鹿児島交響楽団が社団法人の認可を受けた際、69歳の父は理事長に就任した。

そして、その年の年末には、姉妹都市であるイタリアはナポリのサンカルロ劇場への遠征公演という快挙を成し遂げた。サンカルロ劇場と云えば、オペラの国イタリアの三大歌劇場の一つである。鹿児島交響楽団は、鹿児島から合唱団を帯同し、ベートーヴェンの第九を演奏したが、鹿児島の文化面への貢献という父の長年の夢が成就した瞬間だった。

物心ついた頃、我が家の応接間には、ふわふわした白髪のバッハや、いかめしい顔のベートーヴェン、ひげの立派なブラームスの肖像が扉の『ステレオ世界音楽全集』(講談社)なるレコード集が、オーディオセットの横に鎮座していた。

百科事典や世界名作全集などが書架に並ぶ、そういう教養人ぶった応接間(子供は立ち居入禁止)が、ステータスだった時代である。どういうわけか、行進曲を好んだ私は、ヴェルディの『アイーダ』大行進曲や、ワーグナーの『双頭の鷲の旗の下に』をよく聴いた。やはり、好んで聴いた『おもちゃの交響曲』が、まだ、ハイドンの作曲とされていた。

そんなコレクションに、講談社の『映画音楽名曲全集』を加えたのは、当時まだ20代だった母である。表紙にはアラン・ドロン。見開きにオードリー・ヘップバーン、カトリーヌ・ドヌーヴ、クラウディア・カルディナーレ、スティーヴ・マックイーンと続く。

『美しく青きドナウ』は、子供心を高揚させるに充分だったが、『ウェスト・サイド・ストーリー』は、更なる興奮を与えた。何より飽きない長さである。クラシックの行進曲より『荒野の七人』や『大脱走』を聴くようになった。『太陽がいっぱい』は子供心に切なかったっし、『白い恋人たち』を、シンプルに美しいメロディーだと感じた。映画音楽は楽しかった。

今思えば、映画音楽には、クラシックには不足気味の色気があった。家族の誰一人として音楽的素養があったわけではなかったが、これらのレコードは、私の一人遊びの相手として充分だった。

3年前に、霧島国際音楽祭鹿児島友の会の事務局長をお引き受けした。35回を迎えた霧島国際音楽祭は今年も成功裏に終了し、その講師陣で編成する『キリシマ祝祭管弦楽団』は、8月6日に台湾公演を挙行し、これも大成功を収めた。

8月29日には演出を担当する鹿児島オペラ協会の『名曲コンサート』が宝山ホールにて。

10月20日は、やはり宝山ホールで、ドラムの神様として世界的に著名なスティーヴ・ガッド一行を招いてのジャズのコンサート『ONE』を開催。そのオープニング・アクトを演出する。

音楽と縁が切れることはない。

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